IECExシステム概要
1.はじめに
防爆機器の国際的な認証システム(適用規格:IEC)で以下の4つのスキームが運用されています。
IECExの加盟国は現在36ヵ国になります。
防爆機器の国際的な認証システム(適用規格:IEC)で以下の4つのスキームが運用されています。
- 機器認証スキーム(防爆機器の試験・認証)
- サービス施設認証スキーム(防爆機器の修理・保守を行う事業所を認証する)
- 要員認証スキーム(防爆機器関連分野の専門家を認証する)
- 適合マーク ライセンス システム(機器認証スキームの適合証を有する製品に適合マークを表示することを許可するライセンスを発行する)
- One Test (試験は1回だけ)
- One Certificate (適合証は1枚だけ)
- One Mark (適合マークは1種類だけ)
IECExの加盟国は現在36ヵ国になります。
機器認証スキームの概要の紹介動画( 日本語字幕付き )TIIS Web siteへ
2. 機器認証スキームの概要
2.1 IECExの諸規則
IEC CA 01:2021 Ed.2.5 Basic Rules: 参加資格、組織等を定めた基本則
IECEx 01-S:2022 Ed. 2.2 IECEx Supplement to Harmonized Basic Rules: 基本則のIECEx補遺
IECEx 02: 2022 Ed. 8.0 Rules of Procedure: 機器認証スキームの実施規則
Operational Documents (ODs): 認証、適合証発行、ExCB/ExTLの審査、メーカーの品質システムの審査などについてそれぞれ定めた、加盟国・機関が共通に使用する手順書
2.2 認証の仕組み
認証は、型式試験とその型式の製造工程に適用される品質管理システムの審査からなります。型式試験はExTLが行い防爆構造の種類ごとのIEC規格に従って行います。品質管理システムExCBが行い、ISO 9001をベースにして防爆機器への適用を追加したIECExの手順書(ISO/IEC 80079-34)に基づいて行います。
IECEx試験機関 ExTL: ISO/IEC17025
2.1 IECExの諸規則
IEC CA 01:2021 Ed.2.5 Basic Rules: 参加資格、組織等を定めた基本則
IECEx 01-S:2022 Ed. 2.2 IECEx Supplement to Harmonized Basic Rules: 基本則のIECEx補遺
IECEx 02: 2022 Ed. 8.0 Rules of Procedure: 機器認証スキームの実施規則
Operational Documents (ODs): 認証、適合証発行、ExCB/ExTLの審査、メーカーの品質システムの審査などについてそれぞれ定めた、加盟国・機関が共通に使用する手順書
2.2 認証の仕組み
認証は、型式試験とその型式の製造工程に適用される品質管理システムの審査からなります。型式試験はExTLが行い防爆構造の種類ごとのIEC規格に従って行います。品質管理システムExCBが行い、ISO 9001をベースにして防爆機器への適用を追加したIECExの手順書(ISO/IEC 80079-34)に基づいて行います。
- 型式試験に適合するとExCBはExTLが作成しExCBが保証した「試験報告書:ExTR」が発行します。
- ExCBは申請者の品質管理システムが要件を満たせば「品質報告書:QAR」が発行します。
- ExCBはExTR及びQANの発行により「IECExシステムの適合証:IECExCoC」を発行することが可能となります。ここでExTRとQARを発行したExCBが異なっていても問題はありません。
IECEx試験機関 ExTL: ISO/IEC17025
2.3 適用規格
認証は防爆構造毎又は電気機器の種別毎の規格でIECExが運用する規格の現行版及びひとつ前の版を適用します。
2.4 日本防爆規格のIECEx準拠について
日本の労働安全衛生法の下での電気機械器具防爆構造規格に規定されているガス・蒸気を対象とする防爆構造の種類(耐圧、内圧、安全増、油入、本質安全、樹脂充てん、非点火の各防爆構造)は、全てIECExの運用す2る規格に含まれています。IEC規格にも粉じん防爆構造の規格はあり、IECExでも運用していますが、電気機械器具防爆構造規格の規定内容(粉じん防爆普通防じん構造、粉じん防爆特殊防じん構造)とは異なります。
認証は防爆構造毎又は電気機器の種別毎の規格でIECExが運用する規格の現行版及びひとつ前の版を適用します。
2.4 日本防爆規格のIECEx準拠について
日本の労働安全衛生法の下での電気機械器具防爆構造規格に規定されているガス・蒸気を対象とする防爆構造の種類(耐圧、内圧、安全増、油入、本質安全、樹脂充てん、非点火の各防爆構造)は、全てIECExの運用す2る規格に含まれています。IEC規格にも粉じん防爆構造の規格はあり、IECExでも運用していますが、電気機械器具防爆構造規格の規定内容(粉じん防爆普通防じん構造、粉じん防爆特殊防じん構造)とは異なります。
3. National Differences
IECExは各国の規格とIEC規格との差異を各国のメーカーや認証機関・試験機関に知らせるために、IECEx Bulletinを適時(不定期)出版しています。
なお、日本国の検定は工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術指針)JNIOSH-TR-46が用いられますがこれらの指針はIEC規格に準拠していますが日本国の検定制度での認証システムとの違いやIECExが現在運用する版とその内容との差異等から、National Differences が存在しています。
National differencesの内容につきましては、 IECExに日本国のNational Member BodyであるJISC(Japanese Industrial Standards Committee/日本工業標準調査会)からIECEx事務局へ提出したNational differencesの 資料(List of National Differences他)をご参照ください。
IECExは各国の規格とIEC規格との差異を各国のメーカーや認証機関・試験機関に知らせるために、IECEx Bulletinを適時(不定期)出版しています。
なお、日本国の検定は工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術指針)JNIOSH-TR-46が用いられますがこれらの指針はIEC規格に準拠していますが日本国の検定制度での認証システムとの違いやIECExが現在運用する版とその内容との差異等から、National Differences が存在しています。
National differencesの内容につきましては、 IECExに日本国のNational Member BodyであるJISC(Japanese Industrial Standards Committee/日本工業標準調査会)からIECEx事務局へ提出したNational differencesの 資料(List of National Differences他)をご参照ください。
List of National Differences
ご利用のブラウザでは、このドキュメントの表示はサポートされていません。ドキュメントをダウンロードするには、こちらをクリックしてください。
4. Fast Track Process
IECExのExTRは、ある型式の防爆機器が特定のIEC規格に定める試験に適合することを証するものですが、世界各国の検定(認証・試験)の基準となる規格はIEC規格とは限らず、仮にIEC規格に整合・準拠していたとしても、それがIEC規格の最新版に対応しているとは限りません。すなわち、国ごとに規格に差異(National Differences)があり得ることになります。
そこでIECExでは、「ExCBとなった機関は、外国のExCBが発行したExTRを受け入れて、自国の規格に合わない部分については追加の試験・評価を行って、自国で有効な適合証(検定合格証)を発行する」というルールを設けています。これによって、外国製品に対する検定所要時間が短縮されることが期待されることから、この仕組みをFast Track Process又はFast Track Pathと呼んでいます。(IECEx 02のINTRODUCTIONのIECEx options b及び5.5、10.1に関連の記述があります)
IECExのExTRは、ある型式の防爆機器が特定のIEC規格に定める試験に適合することを証するものですが、世界各国の検定(認証・試験)の基準となる規格はIEC規格とは限らず、仮にIEC規格に整合・準拠していたとしても、それがIEC規格の最新版に対応しているとは限りません。すなわち、国ごとに規格に差異(National Differences)があり得ることになります。
そこでIECExでは、「ExCBとなった機関は、外国のExCBが発行したExTRを受け入れて、自国の規格に合わない部分については追加の試験・評価を行って、自国で有効な適合証(検定合格証)を発行する」というルールを設けています。これによって、外国製品に対する検定所要時間が短縮されることが期待されることから、この仕組みをFast Track Process又はFast Track Pathと呼んでいます。(IECEx 02のINTRODUCTIONのIECEx options b及び5.5、10.1に関連の記述があります)
5. ExCB
世界で62のExCBが認められています。
ExCBには、ISO/IEC 17065 (製品認証機関に対する一般要求事項)の要求事項への適合が求められます。ただし、この規格についてNational Accreditation(認定)を有することは求められていません。
6.2 ExCBは何ができるか、また、何をしなければならないか
・ 防爆機器メーカーに対して、その製品がIEC規格に適合することを証する適合証を発行することがで可能でExTR、QARの発行も可能です。
・ 国外のExCBが発行したExTRを受け入れて、自国内の検定に活用することが求められます。このことはExTRをそのまま受け入れるという意味ではなく、日本の規格・基準に合わない試験や疑義のあるデータについては、別途試験・検証を行うことを前提として、規格・基準が同じ試験についてはできるだけExTRを活用する(実地の試験を略する)ことを意味します。なお、ExTRの受け入れについては、ExCB間における同等の立場での相互受け入れになります。
6. ExTL
世界で62のExTLが認められています。
ExTLには、ISO/IEC 17025 (試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)への適合が求められます。ただし、この規格についてNational Accreditation(認定)を有することは求められていません。
7. ATF(追加試験施設 )(additional testing facility)
以下を満足する試験機関のことをATFといいます。ATFは、1つの特定のExTLとしか協力関係を持つことができません。
・一つの特定の ExTL の完全な管理下にある、またはそれに属している。
・一つの特定の ExTL との書面による合意がありその合意を基に運営されている。
・ExTLから承認され 、ExTL から離れた場所にある。
世界で62のExCBが認められています。
ExCBには、ISO/IEC 17065 (製品認証機関に対する一般要求事項)の要求事項への適合が求められます。ただし、この規格についてNational Accreditation(認定)を有することは求められていません。
6.2 ExCBは何ができるか、また、何をしなければならないか
・ 防爆機器メーカーに対して、その製品がIEC規格に適合することを証する適合証を発行することがで可能でExTR、QARの発行も可能です。
・ 国外のExCBが発行したExTRを受け入れて、自国内の検定に活用することが求められます。このことはExTRをそのまま受け入れるという意味ではなく、日本の規格・基準に合わない試験や疑義のあるデータについては、別途試験・検証を行うことを前提として、規格・基準が同じ試験についてはできるだけExTRを活用する(実地の試験を略する)ことを意味します。なお、ExTRの受け入れについては、ExCB間における同等の立場での相互受け入れになります。
6. ExTL
世界で62のExTLが認められています。
ExTLには、ISO/IEC 17025 (試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)への適合が求められます。ただし、この規格についてNational Accreditation(認定)を有することは求められていません。
7. ATF(追加試験施設 )(additional testing facility)
以下を満足する試験機関のことをATFといいます。ATFは、1つの特定のExTLとしか協力関係を持つことができません。
・一つの特定の ExTL の完全な管理下にある、またはそれに属している。
・一つの特定の ExTL との書面による合意がありその合意を基に運営されている。
・ExTLから承認され 、ExTL から離れた場所にある。